マウスを使った実験では、緑茶の長期投与により認知機能障害を改善することが報告されています。東北大学の栗山博士らが、70歳以上の高齢者約1000人についてしらべたところ、緑茶を多く飲むグループ(一日二杯以上)では、緑茶を飲む量が少ない人(一週間に三杯以下)のグループに比べて、認知症にかかている二との割合が半分以下であったことがわかりました。
参考文献
A.Haque, M. Hashimoto,et al., ICOS 2010,HB-P-3(2010)
S.Kuriyama,et al., Am J Clin Nutr. 83,355(2006)
茶カテキンを継続的に摂取することで、脂質が燃えやすくなり、体脂肪が減少することがわかっています。花王(株)の高瀬博士らは、高濃度茶カテキンの継続摂取にかんする七つの研究について併合データ解析を行い、一日約500mgの茶カテキンを8~12週間摂取することで、内臓脂肪、腹囲が減少し,BMI(Body Mass Index: 肥満指数)が低下することを示しました。
参考文献
H.Takase,et al., Jpn Pharmacol Ther,36(6)509-514(2008)
緑茶に含まれるカテキン類、特にEGCgには強い抗酸化作用があり、発がん物質によってできたDNAの損傷を除去修復して正常に戻すことや、がんの原因となる遺伝子の突然変異を抑えることを考えられています。厚生労働省の研究班によれば、約73,000人を対象に追跡調査をした結果、女性では一日五敗以上緑茶を飲むグループは、一杯未満のグループと比較して、胃がんにかかるリスクが三割程度低いことがわかりました。特に胃の下部のがんではリスク低下がはっきりとみられます。また、進行性の前立腺癌についても、一日に緑茶を五杯以上飲む人は、一日一杯未満の人と比べて、発症するリスクが半分であるとの発表もされています。
参考文献
S.Sasazuki, et al., Cancer Causes Control. 15,483(2004)
N.Kuruhashi, et al., Am J Epidemiology 167,71(2008)
茶に含まれるカテキン類は動脈硬化を予防する効果があることがしられています。東北大学の栗山博士らにより、一日に5杯以上緑茶を飲む人は、1日一杯未満の人と比べて、心筋梗塞などの心臓血管の病気にかかる率が約3割すくない、という研究結果がほうこくされています。
参考文献
S.Kuriyama, et al., JAMA 296,1255(2006)
茶のカテキン類には強い抗ウイルス作用があり、インフルエンザウイルスを不活化させるとこがわかっています。静岡県立大学の山田博士らは静岡県菊川市の小学校の児童を対象にアンケート調査を行い、週6日以上緑茶を飲む子供は、週3日未満の場合に比べ、インフルエンザにかかりにくかったとの結果から、子供は毎日適量の緑茶を飲むことでインフルエンザの発症を予防できる可能性を示しました。
参考文献
M. Park, H. Yamada, et al., ICOS 2010, HB-P-6(2010)
K. Kaihatsu, et al., ICOS2010,HB-S-8(2010)
http://kenko100.jp/news/2011/10/19/01
神戸大学の芦田博士らは、茶が食後の急激な血糖値の上昇を抑え、高血糖を予防することや、脂肪細胞の分化を抑制することを明らかにしました。大阪大学の磯博士らは、40歳から65歳までの男女約17,000人を5年間追跡調査した結果、緑茶を多く飲むグループ(1日に6杯以上)の糖尿病の発症リスクが、緑茶をほとんど飲まないグループ(1週間に一杯未満)と比較して3分の1程度すくないことを報告しました。
参考文献
H. Ashida, et al., ICOS 2010, HB-S-7(2010)
H. Iso, et al., Ann Intern Med 144,544(2006)